ファストファッションとは? 〜衣服の購買行動の歴史〜
ファストファッションは『衣服の買い替え文化』
皆さんは、衣服をどこで購入していますか?ユニクロ?ZARA?それともインターネット?今ではネットで簡単に衣服が購入できる時代になりましたね。しかし、「衣服を頻繁に買い替える」文化が普及したのは比較的最近のことだとご存知でしょうか?
日本でも、戦前までは家庭で手編みのマフラーやセーターを作るのが当たり前でした。裁縫スキルは料理と並んで、女性の花嫁道具とされていたほどです。
しかし、1970年代以降、ZARAやH&Mといったファストファッションブランドが急成長し、「ファストファッション」という文化が広がりました。ユニクロも1984年、広島市に第1号店をオープンしました。この時の店名『ユニーク・クロージング・ウェアハウス』が後の『ユニクロ』の由来です。
1. はじまりは動物の毛皮から:最初の服作り
衣服の歴史は約10万年前に遡ります。当時、人類が初めて衣服を着た理由は、寒さや外敵から身を守るためでした。動物の毛皮や植物繊維を加工した非常にシンプルなものが使われていました。
この時代は自給自足が主流で、「服を買う」という文化は存在しませんでした。
2. 古代文明の衣服市場:初めて布が売られる
紀元前3000年頃になると、エジプトやメソポタミアでは布地が市場で取引されるようになります。職人が布地を加工して衣服を作る技術が確立し、貴族や王族が絹や紫染めの布を地位の象徴として使用するようになりました。
- 紀元前3000年:エジプトでリネン(麻布)が主要素材。
- 紀元前1000年:古代ギリシャでウールが普及。
- ローマ帝国:市民の階級ごとに服の素材や色が異なる規制がありました。
この頃、一般市民は布を購入し自宅で仕立て、富裕層はオーダーメイドを依頼していました。
3. 中世ヨーロッパの仕立て屋文化:オーダーメイド全盛期
中世ヨーロッパ(5〜15世紀)では、ギルド(同業組合)が織物職人や仕立て屋を支え、品質が管理されたオーダーメイドが主流でした。
- 農民は家庭で作ったシンプルな服を着用。
- 富裕層は高級な絹やウールを使用し、装飾が多い服を注文。
- 結婚式や冠婚葬祭の特別な場では、豪華な衣服が作られました。
この時代の衣服は「買う」というよりも「作ってもらう」ものでした。
4. 産業革命と服の大衆化:既製服の登場
18世紀後半の産業革命により、織機や縫製機械が発明され、布地と衣服の大量生産が可能に。この技術革新により、衣服は大衆化しました。
- 1764年:ジェニー紡績機の発明で糸の生産が効率化。
- 1846年:アメリカで初の縫製ミシンが特許登録。
- 19世紀初頭:都市部で既製服が広がる。
庶民でも購入しやすい価格帯の衣服が登場し、百貨店の誕生で「服を買う」という行為が一般化しました。
5. 19世紀の百貨店革命:ショッピング文化の広がり
19世紀後半、ヨーロッパやアメリカでは百貨店が続々と誕生。フランスのル・ボン・マルシェ(1838年創業)は、現代の百貨店の原型とされ、多くの人が気軽に服を買えるようになりました。
- 1849年:ハロッズ(ロンドン)創業。
- 1858年:ル・ボン・マルシェが大規模化。
- 1890年以降:アメリカではメイシーズやシアーズが登場。
「ショッピング」という楽しみが、都市部の中産階級にも広がりました。
6. 20世紀のファストファッション革命:大量生産から大量消費へ
1970年代以降、スペインのZARAやスウェーデンのH&Mが急成長し、ファストファッションの文化が確立。これにより、手頃な価格で最新のトレンドが手に入るようになりました。
- 1984年:ユニクロ1号店が広島にオープン。
- 1990年代:オンラインショッピングの登場。
- 2000年代:モバイルショッピングが普及。
一方で、この文化は環境問題や労働問題を引き起こし、批判も受けています。
7. 未来の洋服購買行動:サステナブルとテクノロジーの融合
未来のファッション業界はさらに進化し、以下のような変化が期待されています:
- AIによるパーソナライズ:個人の嗜好やサイズに合った提案。
- AR試着:スマートフォンを使ったバーチャル試着。
- 3Dプリンター:家庭でオリジナルの服を作成。
持続可能性が重視され、効率的かつ環境に優しい消費スタイルが主流になるでしょう。
まとめ:洋服の歴史と未来を考える
洋服の購買行動は「作る」から「買う」、そして「選ぶ」へと進化してきました。これからは、サステナブルな選択やテクノロジーの活用が重要な鍵となるでしょう。次に服を買うとき、その背景に思いを馳せてみませんか?