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文明

バングラデシュは1971年建国の新しい国家

bunmei

皆さん、バングラデシュという国をご存じでしょうか? 私はバングラデシュで生まれ、3歳から日本に住んでいますが、周りの人にとってバングラデシュはまだ馴染みが薄いようです。

シム
シム

大人になってから改めて調べてみると、バングラデシュは国家としては歴史の浅い新しい国であると実感しました。そこで、この機会に自分の故郷であるバングラデシュの歴史を、紀元前から少し掘り下げてみることにしました。

外務省ホームページより↓

項目内容
面積14万7千平方キロメートル(日本の約4割、バングラデシュ政府)
人口1億7,119万人(2022年、世界銀行)
首都ダッカ
民族ベンガル人が大部分を占める。ミャンマーとの国境沿いのチッタゴン丘陵地帯には、チャクマ族等を中心とした仏教徒系少数民族が居住。
言語ベンガル語(国語)、成人(15歳以上)識字率:77.7%(2022年、バングラデシュ統計局)
宗教イスラム教徒91%、その他(ヒンズー教徒、仏教徒、キリスト教徒)9%(2022年、バングラデシュ統計局)
主要産業衣料品・縫製品産業、農業
実質GDP3,055億ドル(2022年、世界銀行)
経済成長率(GDP)7.10%(2022年度(バングラデシュ会計年度)、バングラデシュ統計局)
政治体制立憲共和制。議会制民主主義を採用し、大統領が元首、首相が政府の長を務める。

バングラデシュは、人口が多く、国土面積が限られているため、人口密度が非常に高い国です。

世界でも人口密度1位として知られ、実際、帰省すると「人のいない場所がないのでは?」と思うほど賑わっています。
また、中東のイスラム国家から離れ、インドと中国という大国に挟まれた地理的な孤立も影響しているのか、穏健派のイスラム国家としても知られています。

バングラデシュの成り立ちを考えると、イギリス植民地時代の1905年に行われた「ベンガル分割令」が大きな影響を及ぼしているかもしれません。

この分割はインド全土で強い反発を招き、抗議活動が激化。最終的に1911年には分割令が撤回されましたが、後の独立運動に与えた影響は大きなものとなりました。

ここから、バングラデシュの歴史をシンプルに見てみましょう。

1. インダス文明(紀元前2500年頃)

インド・バングラデシュの歴史は、インダス文明まで遡ることができます。この文明は、今日のインドとパキスタンを中心に発展し、広大な農業社会が特徴です。
バングラデシュにもこの影響が伝わり、農業を基盤とした生活が営まれていました。

2. アーリヤ人とヴェーダ時代(紀元前1500年頃)

紀元前1500年頃、アーリヤ人が進出してきたことで、ヒンドゥー文化が現インドの地域に広がりました。
ヴェーダ文学が生まれ、社会構造や宗教的な概念が確立されました。この時代、宗教や言語が形成され、後世にも影響を与えています。

3. マウリヤ・グプタ朝と仏教の繁栄(紀元前4世紀〜4世紀)

古代インドのマウリヤ朝(紀元前4世紀)グプタ朝(4世紀頃)は、政治と経済の発展に重要な役割を果たしました。

特に、仏教が盛んになり、寺院や修道院が各地に建てられました。この時代は「仏教の黄金時代」とも言われています。

4. イスラムの影響とムガル帝国の支配(13〜18世紀)

13世紀頃からイスラム教が伝わり、デリー・スルタン朝やムガル帝国の支配下でイスラム文化が栄えました。

ムガル帝国の時代には、建築や文学、芸術が発展し、イスラム教徒の生活が広がりました。
この多様な文化の融合が、現在のバングラデシュ社会にも大きな影響を与えています。

5. イギリス統治とベンガル分割(18世紀末〜20世紀初頭)

18世紀末、イギリスがインドを植民地化し、現在のバングラデシュ周辺もその支配下に置かれました。

特に1905年の「ベンガル分割令」により、ベンガル州が宗教で分割されましたが、これが激しい反発を招きました。
1911年には分割が撤回されましたが、植民地支配への反発と民族意識の高まりが加速します。

6. パキスタンとの統合と独立運動(1947〜1971年)

1947年のインド・パキスタン分離独立によって、バングラデシュは「東パキスタン」としてパキスタンに統合されました。

しかし、東西パキスタン間の文化的・経済的な格差から不満が高まり、独立を求める声が強まります。
そして、1971年にバングラデシュ独立戦争で、ついにバングラデシュは独立を果たしました。

7. 現代のバングラデシュ:発展と課題

独立後、バングラデシュは経済や教育、インフラの整備に尽力し、特に衣料品産業が国の経済成長を支えています。

しかし、貧困や教育の問題、自然災害への対策など、課題も多く残されています。現在は国際社会との協力を進めながら、持続可能な発展を目指しています。

まとめ

バングラデシュの国家として歴史は短いものの、仏教、ヒンドゥー教、イスラム教といった多様な宗教や文化が長い時間をかけて融合してきました。
 豊かな文化と多様性に満ちたこの国が、今後も持続的な成長を遂げ、多くの人々にとって希望の地となることを願っています。

ABOUT ME
新夢シャド
新夢シャド
経営/貿易/人材
1991年バングラデシュ生まれ。3歳から日本で育ち、義務教育を経て大学を卒業。2014年に株式会社ファミリーマートに入社し、店舗開発や営業などの総合職を経験、2024年に退社。同年、バングラデシュと日本をつなぐ株式会社NDを設立。文明や世界史が好きで、歴史や経済、社会発展に関心を持ち続けています。倫理的な経済成長を通じ、より良い未来づくりに挑戦中です。
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